虫歯も歯周病も原因はストレス?
虫歯や歯周病の原因が細菌感染でありその予防には歯磨きが必須条件ですが、実はストレスも大きな原因。こう言うと多くの方は驚かれるでしょう。でも体に備わった基本的な神経生理を知ると納得がいきます。体全体を統括する脳が指令を出す自律神経には交感神経と副交感神経があり、これらはシーソーのようにバランスがとれていることがとても重要で、どちらかだけが強く働いている状態が自律神経の乱れ、つまり病気の始まりと言えます。
ストレスで唾液量が減少
唾液には食べ物を消化する酵素だけでなく、外から入る体に良くないものを排除するための免疫物質が含まれています。口は外との通路ですから雑菌の入り口であり、その数はなんと100億。そして歯の周囲は虫歯菌と歯周病菌の繁殖場ですが、残念ながらいくら歯を磨いても全くの無菌状態にはなりません。唾液の持つ免疫機能により菌の排除が行なわれて初めて健康な状態が保たれます。
例えば、猫が傷口をなめて治す、というのも理にかなっていますし、よだれの多い赤ちゃんは丈夫といわれる所以です。
さてこのような唾液ですから、充分に分泌される必要がありますが、ストレスが加わると身体は交感神経支配になり、唾液量が減少します。何か緊張するような出来事があった時、口がカラカラに渇くという経験は誰にでもあるでしょう。緊張やストレスが長く続くと免疫物質の宝庫の唾液が不足して、細菌と戦えない状態となる、つまり、虫歯や歯周病が起きやすくなると言うわけです。
自分の体は自分で大切に
身体はすべてつながり、それぞれが互いに影響し合い、恒常性を保つべく片時も休むことなく必死に働いているのです。これらの仕組みを理解し、体を慈しみ大切にして、少しでもその負担を軽減するのは、他ならない自分の心。心して健康に努めましょう。
血行障害も大敵
また、歯や歯肉に栄養を与毛細血管中にも白血球やリンパといった細菌と戦うメカニズムがありますから、血行障害は大敵です。疲れて肩こりや首筋の凝りが感じられる時は、首から上に血流が減少している証拠、お肌も荒れるし、脳も疲れ、口の中も危険状態です。
ちょっと話しがそれますが、煙草はニコチンのお陰で副交換神経になり、心身のリラックス、ストレスの解消、という点では避けがたい魅力があるのですが、歯科医に嫌われる理由は、血管を収縮させて血液の流れを悪くし、歯周病がおき易く治りにくくなる、という点です。喫煙者の方には、上手く対応して頂きたいところです。
さて更には、細菌を取り込んだ血液はそのまま心臓にも運ばれていきます。これらの細菌を異物と判断した体は細菌を取り囲んでそれ以上ばら撒かないように対応しますが、その結果出来たこぶが心臓に出来れば心筋梗塞、という恐ろしい報告も数多く出されています。